Three Lights

ベルリン国際映画祭フォーラム部門
香港国際映画祭コンペティション部門
吉田光希監督 最新映画『三つの光』 9/16(土)新宿K’s cinema 9/30日(土)渋谷ユーロスペース 他、全国順次公開

9.16〜 新宿K’s cinema 9.30〜 渋谷ユーロスペース
他全国順次公開!

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脚本・監督:吉田光希
池田良 / 鈴木士 / 小宮一葉 / 真木恵未 / 石橋菜津美 / 後藤剛範
制作プロダクション:Sundy|制作・配給CINEMA_IMPACT
2017|1:1:85|DCP|5.1ch|100分

INTRODUCTION

喜びと葛藤、希望と焦燥。 圧倒的なリアリティで心の再生を描く

ベルリン・ロカルノ・香港・全州、
世界が注目する吉田光希監督最新作、ついに日本公開!

 『症例X』(‘08)ぴあフィルムフェスティバル審査員特別賞、ロカルノ映画祭選出、『家族X』(‘11)ベルリン国際映画祭選出、『トーキョービッチ,アイラブユー』(’13)東京フィルメックススペシャル・メンションと国内外で評価の高い吉田光希監督、待望の最新作『三つの光』が、ベルリン国際映画祭、香港国際映画祭出品を経て、日本での劇場公開が決定しました。

圧倒的なリアリティで心の再生を描く

 深夜の倉庫街で楽曲制作をするマサキとKの元に、抑圧された日常から逃れるようにして3人の女が集まってきた。自宅でピアノ演奏を撮影し、動画共有サイトにアップロードを続けるアオイ。夫とすれ違いの生活を続ける専業主婦のミチコ。歌うことの意義を失いつつあるシンガーのアヤ。マサキとKとの出会いによって自分を解き放っていく3人。それは、共に作り上げていく一つの音楽に結実するように思われたのだが・・・。

喜びと葛藤、希望と焦燥。

 橋口亮輔監督『恋人たち』(‘15)の好演で、高崎映画祭優秀新進俳優賞を受賞した池田良をはじめ、
新人俳優たちと監督が対話を重ね、それぞれの個性や境遇をキャラクターに反映させ、
観る者に圧倒的なリアリティをもって語りかけます。
もがき続ける人間の姿を通して、誰もが抱く希望や葛藤、焦燥を描き、心の再生に迫る意欲作です。

STORY

抑圧された日常から逃れてきた三人の女。
作り上げる一つの音楽。

抑圧された日常から逃れてきた三人の女。作り上げる一つの音楽。 ストーリー

稼働を止めた深夜の倉庫街。その中に一軒だけ明かりを灯す建物があった。
山積みの楽器に囲まれ、ひとり楽曲制作を続けているマサキがいる。
そして、彼の横にはいつでもKがいた。
「もう誰も来ねーよ」
「そんなこと言ったら、全部お終いじゃん」
かつて音楽スタジオとして使われていた場所。今は2人の他に、やってくる者は誰もいない。

保育士として働くアオイは、しばらく仕事を休んでいる。
婚約していた恋人との関係は、他人に壊されるかたちで終わりとなった。
無気力にベッドに横たわり一日を過ごす。自室に置かれたピアノの前で、鍵盤に指を置く。
気持ちの動きに合わせて音を奏でてみる。か弱く、輪郭の無い音楽が鳴る。
彼女は自分の演奏姿を撮影し、動画共有サイトにアップロードし続けている。
「誰も観てないんだけどさ、前は向いてる」
今はこれだけが彼女と世界の接点だった。

相容れぬような4人は互いに惹かれ合い、やがて不思議なコミュニティを形成していく――。

専業主婦のミチコは、かつて思い描いていた理想の家族像があった。
経済的にも不自由なく、子どもの居る幸せな家庭。
結婚から2年ほどたった今、その理想とは違うところに居る。
夫とはすれ違うように続く日々。
「すごいヒマだけど、自由が無いじゃん私。表にでたい」
彼女が本音を話せるのは、息抜きで通い始めたテニススクールのコーチだけだった。
彼らは次第に自分の日常に距離を起き始め、そして出会う。
相容れぬような4人は互いに惹かれ合い、やがて不思議なコミュニティを形成していく――。

TRAILER

制作・配給:CINEMA IMPACT

2017|1:1:85|DCP|5.1ch|100分

CAST

池田 良

K

池田 良 / Ryo Ikeda

1978年1月27日生まれ 愛知県名古屋市出身。 慶應義塾大学法学部卒業後、外資系コンサルティング会社に就職、米国勤務を経て27歳の時に俳優を志し、退職。 舞台・ドラマ等に出演しつつ、米のステラ・アドラー・スタジオ・オブ・アクティングに2度留学。 2015年、橋口亮輔監督『恋人たち』で主演の1人、ゲイのエリート弁護士役を演じ、第30回高崎映画祭で優秀新進俳優賞を受賞した。 その他主な映画出演作に、『わが母の記』(’12/原田眞人監督)、『海辺の町で』(’13/廣木隆一監督)、『種まく旅人 くにうみの郷』(’15/篠原哲雄監督)、 『ろくでなし』(’17/奥田庸介監督)、『ハローグッバイ』(’17/菊地健雄監督)、『菊とギロチン』(’18/瀬々敬久監督)などがある。


鈴木 士

マサキ

鈴木 士 / Hiroshi Suzuki

1981年10月10日生まれ 静岡県出身。 青山学院大学経営学部卒 元テニスインストラクター。 4年間の会社勤務をした後、演劇活動を開始。俳優座演劇研究所、文学座附属演劇研修所を経て現在に至る。 主な出演作に『湯を沸かすほどの熱い愛』 (’16/中野量太監督) 『秘密 THE TOP SECRET』(’16/大友啓史監督) 『Suicide Love』 (’16/大山千賀子監督) 『残穢』(’16/中村義洋監督) 『流し屋鉄平』(’15/榊英雄監督) 『夫婦レジェンド』(’15/長崎俊一監督) 『撃墜~3人のパイロット』(’14/岸義幸監督) 『的場たぬき山公園』(’17/小崎基広監督) 商業映画に参加しながら自身の仲間とも多数の短編作品を製作する。

小宮一葉

アオイ

小宮 一葉 / Kazuha Komiya

東京音楽大学ピアノ科卒業。 在学中に今泉力哉監督作品に出演したことがきっかけで芝居を始め、2012年に公開された同監督の映画『こっぴどい猫』でヒロインを演じた。 その他主な出演作に、『ひ・き・こ 降臨』主演(’14/吉川久岳監督)、『サヨナラ人魚』主演(’13/加藤綾佳監督)、 『お兄チャンは戦場へ行った?!』主演(’14/中野量太監督)『5 to 9』(’15/宮崎大祐監督)増田壮太「僕らはシークレット」MV(太田信吾監督) 全日本宗教用具組合「小さな祈りのプロジェクト」CM、舞台出演にマームとジプシー「cocoon」(作・演出・藤田貴大)など。 また2017年からtapestokrecordsより〝faela〟として音楽活動を開始、single「em」がitunes、ototoyにてリリースされている。


真木恵未

ミチコ

真木 恵未 / Emi Maki

1982年12月18日生まれ。千葉県出身。大学在学中の2001年からラジオDJ、イベントMCとして活動を開始。大学卒業後は大手広告代理店に就職し、5年半、営業職として勤務。その後、NHKドラマ『10年先も君に恋して』(’10)で女優としての活動を開始。映画、ドラマ、CMに出演するほか、ラジオDJや、TV番組でのレギュラーMCなど多方面で活動を続ける。近年の出演作として、映画では『ヒミズ』(’12/園子温監督)、『ポプラの秋』(’15/大森研一監督)、TVドラマではEX『相棒 シーズン11』(’13)、CX『HERO』(’14)、EX『遺留捜査 スペシャル3』(’14)、 TBS『天皇の料理番』(’15)、CX『カインとアベル』(’16)、EX『女囚セブン』(’17)、CX『ウツボカズラの夢』('17)などがある。

石橋菜津美

アヤ

石橋 菜津美 / Natsumi Ishibashi

1992年6月25日生まれ、東京都出身。2008年、ドラマ『わたしが死んでも世界は動く』(長澤雅彦監督)で主演に抜擢されデビュー。主な作品は『君のせい』(’09/TBS)、『牙狼-魔戒ノ花-』 (’14/TX)『霊感少女ヒドミ』(14/岩井秀人演出)などがある。


後藤剛範

タイキ

後藤 剛範 / Takenori Goto

オーストラ・マコンドー所属。大学在学中より演劇を専攻し、学内にある実験劇場で、唐十郎、寺山修司、岸田理生などの戯曲を扱い公演。その後舞台を中心に演劇活動を始める。主な出演歴として、国分寺大人倶楽部、木ノ下歌舞伎、ポツドール、ハイバイ、野田地図、グローブ座など。近年は映像作品にも積極的に出演。吉田恵輔監督、山内ケンジ監督、犬童一心監督、権野元監督、等の作品に出演し、活動の幅を広げている。


コースケ

森下 サトシ / Satoshi Morishita

フミ

佐々木 大介 / Daisuke Sasaki

サクライ

鳥越 ゆみ / Yumi Torigoe

尾藤 亜衣 / Ai Bitou

管理者

小野 孝弘 / Takahiro Ono

黒田

柴山 美保 / Miho Shibayama

音楽プロデューサー

田中 隆三 / Ryuzo Tanaka

PRODUCTION NOTE

PRODUCTION NOTE

はじまり

「予算以外の条件は特にない」「監督がやりたいものを作ればいい」———爆発的に自由なスタイルと山本政志監督のプロデュースとあって関係者全員驚きと期待が高まる中での製作開始となった『三つの光』。監督の吉田光希は登場人物の奥底にある澱みのような感情を鮮烈に画面に活写し、時に冷酷なまでに人物と都市を描き現代社会を炙り出す映画作家である。山本プロデューサーが主宰する、役者志望者を対象としたワークショップ“シネマ⭐︎インパクト”に講師として参加した吉田は、そこで主演4人を選出する。彼等以外の出演者を含んだ主要キャストとのディスカッションを基にシナリオの推敲、キャラクター作りを進めていく吉田。この手法はこれまでの吉田作品と同様である。特にKという悪魔の人物造形に関してはKを演じる池田良と共に苦心して書き上げた。

リハーサル

リハーサルはシナリオ同様、俳優部に寄り添うようにじっくりと時間をかけて進めていき人物像を具現化していくが、監督は時に相手を突き放すような言葉も穏やかに浴びせていく。決して声を荒げる事がないだけにその一言一言は抉るように俳優部を剥き出しに、追い詰めていく。ミチコ役の真木恵未には役作りのために一か月以上もミチコとして日記を綴る事を課し、アヤ役の石橋菜津美には役同様ツイッターにつぶやく事を課し、そのつぶやきは劇中でも使われている。

倉庫スタジオ

PRODUCTION NOTE はじまり PRODUCTION NOTE リハーサル

監督が今作中での絶対的な舞台装置として選んだスタジオは、撮影当時、実際に音楽スタジオとして使われていた場所だ。監督の友人が営んでいたこのスタジオに、吉田は以前から足を運んでいた。そこで行われている音楽制作を目にしたのが本作のべースになっている。

シナリオ

スケジュール、ロケ地等が決まりクランクインを迎えるのみとなってきた頃、山本プロデューサーよりシナリオについて、「後半、外に飛び出して欲しい。例えば出来上がった音楽を街頭で流すとか・・」という命題が上がってきた。それまでの脚本では、ほぼスタジオを中心に物語が進行していく構成だった。彼らの行き詰まったような鬱屈した状況に射しこむ、終盤の山場に向けての、転換点となるシーン。数日後、電波ジャックをして音楽を街に流していくというシーンを監督が書き上げて、シナリオは厚味を増した。

撮影

PRODUCTION NOTE 撮影

そして、クランクイン。小宮一葉演じるアオイの葛藤が剥き出しになるシーンの撮影日は、朝から監督との話し合いが続く。あくまで俳優部に寄り添う姿勢の監督。部屋の外まで何度もアオイの声が響く繊細で感情的なシーン。しかし、終日を費やして撮影が行われたこのシーンは、吉田の判断で、後日撮り直す事があっさりと決まってしまった。
鈴木士演じるマサキは、一見“普通そう”でありながら難解な人物像に迫る為リハーサルから悩まされていた。そのため、撮影中も何度となく監督と議論を重ねる場面が多く見られるなど、俳優それぞれが役柄と真摯に向き合う現場となった。

STAFF

監督吉田光希

監督    吉田光希

監督    吉田光希

1980年生まれ。東京造形大学造形学部デザイン学科映画専攻領域卒業。在学中より諏訪敦彦監督に師事。また塚本晋也監督作品を中心に映画制作現場に参加。特殊効果、照明助手、美術助手、助監督などの経験を積む。卒業後は製作プロダクションにてCMやPVの制作に携わる傍ら、自主製作映画『症例X』(’07)で、第30回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)の審査員特別賞を受賞。同作は第61回ロカルノ国際映画祭の新鋭監督コンペティション部門に入選。
第20回PFFスカラシップの権利を獲得して制作された『家族X』で、劇場映画デビューを果たす。同作はベルリン国際映画祭、全州国際映画祭など、多くの海外映画祭より招待を受け上映されている。2012年『ふかくこの性を愛すべし』がオムニバス映画『ヴァージン』の一篇として劇場公開。
2013年、演劇ユニット「オーストラ・マコンドー」の舞台を原作とした映画『トーキョービッチ,アイラブユー』を制作。第14回東京フィルメックス・コンペティション部門に選出され、スペシャル・メンションが授与された。

プロデューサー山本政志

プロデューサー    山本政志

プロデューサー    山本政志

『闇のカーニバル』(‘82)がベルリン国際映画祭・カンヌ国際映画祭に選出され、『ロビンソンの庭』(‘87)で、ベルリン映画祭zitty賞、ロカルノ映画祭審査員特別賞、日本映画監督協会新人賞受賞。自主映画初の香港との合作映画『てなもんやコネクション』(‘90)では、専用上映館"TANK2"を渋谷に建築し、4ヶ月のロングラン上映を敢行。1991年初の大作『熊楠KUMAGUSU』に挑むが、資金難のために撮影中断、現在に至るまで未完となっている。『アトランタ・ブギ』(‘96)を経て、1997年に文化庁海外派遣文化研修員としてニューヨークに1年間滞在。この間『JUNK FOOD』(‘97)が、全米10都市で自主配給された。2000年単身で再びニューヨークに乗り込み、全ニューヨークスタッフで『リムジンドライブ』を制作。『聴かれた女』(‘07)、『スリー☆ポイント』(‘11)を発表後、2012年から映画塾シネマ☆インパクトを主宰し、12人の監督と共に15本の作品を発表。その中から、大根仁監督のスマッシュヒット作『恋の渦』が誕生する。同様にシネマ☆インパクトから生まれた自身の監督作『水の声を聞く』(‘14)は、ベルリン映画祭を始め、香港、全州、ニューヨークなどの映画祭で上映され、キネマ旬報ベストテンに選出されるなど、国内外で高い評価を得る。2016年には、過去の8m/m作品「聖テロリズム」が、ベルリン、香港などの映画祭で企画上映され、これまで監督作品5本と『三つの光』と合わせて6作品がベルリン映画祭に選考されるという快挙を果たしている。

撮影    志田貴之

1972年生まれ。大学在学中に塚本晋也監督のもとで撮影助手として活躍。映画、CM、PVの分野で活動。吉田光希監督の劇場デビュー作『家族X』から、すべての長編作品で撮影を担当している。主な作品に『鉄男 THE BULLET MAN』(’10)『麦子さんと』(’13)『ヒメアノ~ル』(’16)『犬猿』(’18)などがある。

照明    中西克之

学生時代から塚本晋也監督のさまざまな現場に参加。卒業後、東映京都撮影所照明部にて4年間修行をし再び上京。今作で重要なロケセットとなるスタジオでは、閉鎖感を印象的に表現する照明設計で映画の奥行きを作り上げた。主な作品に『祖谷物語―おくのひと―』(’14)『おとぎ話みたい』(’14)『ヒメアノ~ル』(’16)『花芯』(’16)などがある。

録音    L'équipe

映画をはじめ、映像コンテンツ全般の録音・サウンドデザイン・ミックス・音楽作曲などを手掛けるサウンド制作チーム。今作では登場人物たちの繊細な心象を効果音や音場で表現し、作品の隅々まで情感溢れる丁寧な音響設計を発揮している。

音楽    Yawn of sleepy

hydrant house purport rife on sleepyのメンバーとして活動。所有のIce Cream Studioにて制作されたタイトルを多数配信している。今作に不可欠な音楽全般を担当。キャスト自身が演奏した楽器による収録素材、歌声などを楽曲として仕上げ、精巧かつ情緒的な光彩を作品にもたらした。

助監督    福嶋賢治

学生時代から映画制作を開始し、卒業後は助監督として多数の映画・ドラマ等に演出部として参加。吉田光希監督の最近作ではすべての作品で助監督を担当している。撮影現場では高度な要求にも柔軟に応える機転を発揮。本作でも多くのシーンに重要なアイデアを与えた。主な作品に『祖谷物語―おくのひと―』(’14)『新しき民』(’15)などがある。

編集    古川達馬

日本映画学校卒業後、映画・ドラマ作品でアシスタントを担当。主な作品として『がじまる食堂の恋』(’14)『滝を見にいく』(’14)TVドラマ『100万円の女たち』(’17)などに参加。商業作品からインディペンデントまで幅広く経験した視点を活かし本作では編集技師を担当。キャラクターの本性をあぶり出す的確な観点で、群像を鋭く切り取り、本作の根幹をなす構成を紡ぎ出した。

楽曲プロデュース    THIRTY THREE RECORD

所有するIce Cream Studioを拠点に音楽配信・映像制作等、幅広い分野で活動するコミュニティレーベル。本作に登場する印象的なロケーションは映画の最重要部であり、この場所との出会いによって映画がスタートした。本編で行われている楽曲収録をキャスト自身が体験するため、リハーサル期間には俳優部が実際に訪れスタジオによる演出を経験。プレ収録には多くのアーティストも立会い、Ricco LabelからTakahiro Kido、Yuki Murata、インディーロックバンドMerry ChristmasからBen&Yuki が参加。この日に収録された楽曲は、映画公開に合わせて、配信リリースを予定している。また本編で使われている楽曲も、未使用音源を含めたオリジナルサウンドトラック『the lights for the others, delights for the lusters』としてTHIRTY THREE RECORDより配信される。

三つの光Three Lights
2017/1:1.85/DCP 5.1ch/100分

出演
池田良 / 鈴木士 / 小宮一葉 / 真木恵未 / 石橋菜津美 / 後藤剛範
森下サトシ / 佐々木大介 / 鳥越ゆみ / 尾藤亜衣 / 小野孝弘 / 柴山美保 / 田中隆三

脚本・監督:吉田光希
プロデューサー:山本政志|ラインプロデューサー:柏田洋平|撮影:志田貴之|照明:中西克之
録音:L’equipe|音楽:Yawn of sleepy|助監督:福嶋賢治|編集:古川達馬
楽曲プロデュース:THIRTY THREE RECORD|グレーディング:タキユウスケ|メイク:三沢友香
スチール:菊池良助|メインタイトルデザイン:麻生泰三|広告デザイン:寺澤圭太郎|ホームページ制作:大西芳穂|宣伝:平井万里子
制作プロダクション:Sundy|制作・配給

DIRECTOR INTERVIEW

—主要キャスト起用の決め手を教えてください。

この作品は音楽映画という側面もありますが、映画のために楽器を覚えてもらうというより、俳優本人に備わった“身体性”を映せば物語に奥行きが出ると考え、ワークショップ中も目を光らせていました。そうしてたまたま小宮さんはピアノ、真木さんはフルートをそれぞれ弾けることが分かって。鈴木さんは楽器を弾けませんが、テニスインストラクターの経験があった。テニスの壁打ち姿って自問自答しているようで面白いし、人間の二面性がテーマになったこの映画に合っていると思いました。また、それぞれの個性を打ち消し合わないようバランスも意識しました。

吉田光希監督インタビュー

—脚本を書くにあたり、俳優たちとディスカッションされたとか。

初稿を書いた後、ひとりひとりと話をしました。会話の中で僕が共感できたことを脚本に反映すれば、映画にも説得力が出ると思ったんです。リハーサルでも、脚本にないセリフが4人からどんどん出てきました。それも、彼らが役に没入してくれたおかげ。僕自身、それぞれの“役でありつつ自分自身である”という側面を描きたかったし、代わりの効かないキャラクターになったと思います。

—山本政志プロデューサーとの共同作業はいかがでしたか。

脚本執筆の過程で、山本さんは「小さくまとまるな。もうひと展開欲しい」と常に鼓舞してくれましたね。それに、たとえ山本さんの意見が自分と違うものだったとしても「信じてみたい」という気持ちがありました。決して妥協するということではなく、今までと違う作り方をしたほうが自分にとって発見があるし、脳みそは1つよりも2つあったほうがいい。これまで届かなかった観客に届いていく可能性もあると感じながら共同作業を楽しんでいました。

—電波ジャックのシーンは開放感がありました。

僕と助監督は、あのシーンを「音楽テロ」と呼んでいました。普通、音楽を発信する表現で思い浮かぶのは路上ライブだと思うんですが、僕は発信する行為より、彼らの“内面”を描きたかった。高揚していく魂、自分たちの音を外の世界に届けたい欲求、でも作ったものは世界には届かないという挫折感を表現するために、あのようなシーンになりました。

吉田光希監督インタビュー シーン2

—他にこだわったシーンは?

アオイが別れた婚約者と再会後、部屋で嗚咽するシーンは、2日間かけて15テイクほど撮りました。1日目から泣き崩れたり叫んだりといろいろな表現を試してもらったのですが、僕には響かなかったんです。肉眼で見ている僕の心が締め付けられなければ、スクリーンを通してお客さんには届かない。そうしてテイクを重ね素材は撮れたものの、僕は彼女自身が納得できていないように見えたんです。だから翌日も撮影を続行しジリジリと追い詰めていきました。結果的に、体まるごと全力で芝居をする瞬間がおさめられたと思います。

—Kとマサキの関係性について教えてください。

マサキにとってのKは“もうひとりの自分”です。僕自身も、人への妬みや嫌悪感は無意識にもっていて、そんな自分をイヤだなと思うことがあります。自分の中にある“悪”を追い出したい———それがこの映画を作るきっかけでもありました。ただ悪を追い出したいけど、消極的なだけではうまく立ち振る舞えないし、自分の主張すべきときはKのように強くありたい。マサキにとってのKは「嫌いだけど、どこかで憧れもある」存在なんです。そんな男たちの葛藤を、全編通して描こうと思いました。

吉田光希監督インタビュー シーン3

—現場でのお2人はいかがでしたか。

鈴木さんは、マサキという役をずっと模索していましたね。スケジュールの都合で、撮影前半にラストシーンを撮ることになり、鈴木さんにとっては結末に至るまでのマサキの感情を十分に咀嚼できていない中での撮影になってしまった。そのため葛藤がピークに達したのか、相手役の池田さんとちょっとした衝突がありました。役柄とシンクロした瞬間でしたし、それだけ2人とも真剣に役に向かい合っていたということだと思います。

—そうして作り上げた作品が、ベルリン国際映画祭に正式出品されました。

ワールドプレミアはベルリンで行いたいと目標にしていたので、素直にうれしかったです。上映当日は1500席の劇場が満席になりました。みなさん感度が高くて、アオイが婚約者の浮気相手から手紙を読まれるシーンでは笑いも起きていましたね。「女性の映画」という感想も多くて新鮮でした。

—最後に、これからご覧になる方にメッセージをお願いします。

私生活でも仕事でも、いつでも「誰か」が身近にいました。気を使いながら相手の顔色を見ることもあれば、自分の本音をさらけ出して、衝突したこともあります。多くの人間と関わり、意見を交換していく。映画作りの現場でも、それらを体感しています。「より良いものを目指したい」という共通の思いが引き起こす、人々の摩擦。しかし衝突のあり方によっては、人間関係の断絶に発展していくことも経験してきました。同じところを目指していても、お互いの距離を縮めすぎると、なぜより深く相手を傷つけてしまうのか。映画を通してこの疑問と向き合おうとおもいました。「誰か」と関わり、親密になっていく過程で起きてくる希望や高揚、湧いてくる私欲。枯れた魂が集まり、回復していく瞬間を描きたい。強く自分自身でありたいと願う、K、マサキ、アオイ、ミチコ。彼らの心の再生を描くことが、僕自身の救いにも繋がると信じています。

吉田光希監督インタビュー シーン4

THEATER

 
新宿 K’s シネマ 2017 9/16(土)~
※9/16(土)19:00の回上映後 初日舞台挨拶
登壇者:吉田光希監督、池田良、鈴木士、小宮一葉、真木恵未、石橋菜津美 他
渋谷 ユーロスペース 2017 9/30(土)~
※9/30(土)21:00の回上映後 初日舞台挨拶
登壇者:吉田光希監督、池田良、鈴木士、小宮一葉、真木恵未 他